陣痛タクシー
陣痛が来るのがいつ何時か、どんな場所か、誰といるときかは予測できない。
臨月に入ってからは、ほとんど自宅とその周辺で過ごしていたが、
産気づいたとき、さすがに電車で移動はできないし、
うちは自家用車がないので、タクシーを使うことになる。
陣痛に苦しみながらタクシーを捕まえるなんてしたくないし、
出産直前の妊婦を乗せたくないタクシーも多いだろうし、
乗車中に破水したり出血したりして、車を汚すことになるのも困ってしまう。
そんなときに「陣痛タクシー」。
妊娠中は乗ることも多いタクシーの後部座席の広告で、
そういうものがあるのだと知った。
出産予定日と自宅と産院を事前に登録しておき、
いざ陣痛が来たら、専用電話番号でタクシーを呼ぶ。
すると、登録した住所まで迎えに来てくれて、
仮に車の中を汚してしまっても責任は問われない。
果たして、私はこの陣痛タクシーにお世話になった。
深夜でもすぐに来てくれて、しかも病院に到着直前、
タクシーの中で破水してしまったという。
お腹が痛くて「うーっ」と悶えながら、
早く早く、でも安全運転で、と祈る気持ちに応えてくれる絶妙の運転だった。
運転手さん、ありがとう!
車汚してごめんなさい。
あのときは、そんなこと言う余裕もなかったけど、とても感謝してます。